呼吸は、生きている限り誰もがしている“当たり前”の動作。
でも、当たり前すぎてなかなか意識しずらいものでもあります。
そんな呼吸の質が落ちてしまうと、少しずつ「乱れ」が生じてきます。
今日は、そんな“呼吸”のメカニズムや夜トレでなぜ重要としているのかを、わかりやすくお話しします。
みんなはない?自律神経の乱れ

朝起きてもスッキリしない。
寝る前なのにスマホを見て目が冴えてしまう。
理由もなくイライラしたり、落ち込んだりする。
そんな状態が続いている人は、
「自律神経のバランス」が乱れているかもしれません。
自律神経とは、
体の中で“自動的に働く”神経のこと。
心臓を動かしたり、
体温を調節したり、
消化を助けたり——
私たちが意識しなくても、常に働き続けています。
その中には「交感神経」と「副交感神経」があり、
この2つのバランスが整っているとき、
人の体は最も安定した状態になります。
呼吸は、自律神経に働きかける“唯一のスイッチ”

自律神経は、私たちの意思ではコントロールできません。
「ちょっとリラックスしよう!」と思っても、
スイッチひとつで切り替えられるものではない。
でも——
実は“呼吸”だけは、
この自律神経に唯一意識して働きかけられる手段なんです。
深くゆっくりと息を吐くと、副交感神経が優位になり、
心拍が落ち着き、体がリラックスしていきます。
反対に、早く浅い呼吸をすると、交感神経が優位になり、
体は戦闘モードに入ります。
つまり、
呼吸の仕方次第で「今の自分の状態」を
ある程度、意図的に変えることができるんです。
2種類の呼吸:「腹式呼吸」と「胸式呼吸」

ここでよく出てくるのが、
「腹式呼吸と胸式呼吸、どっちがいいんですか?」という質問。
答えは、どちらも必要です。
目的によって使い分けるのが大事なんです。
● 腹式呼吸 — リラックスの呼吸
腹式呼吸は、主に“副交感神経”を優位にする呼吸。
お腹を膨らませながら息を吸い、
へこませながらゆっくり吐く。
この呼吸を行うことで、心拍数が下がり、
体が「休息モード」に切り替わります。
寝る前の夜トレや、ストレッチ中には
腹式呼吸を取り入れるのが最適です。
● 胸式呼吸 — 動くための呼吸
一方で胸式呼吸は、体を“動かすため”の呼吸。
肋骨を大きく広げて息を吸い、
締めがら吐く。
これはピラティスでよく使われる呼吸法です。
胸式呼吸をすると、肋骨の可動性が高まり、
インナーマッスルが活性化することで体幹が自然と安定し、
動作の質が上がります。
トレーニングや姿勢改善には、この呼吸が重要です。
ひろ目的に応じて使い分けしていこう!
呼吸が浅くなる現代人


スマホを見ながら猫背になったり、
デスクワークで肩をすくめたりしていると、
自然と呼吸は浅くなります。
特に現代人は、
「肩や首の筋肉で呼吸をしている人」が多い。
と言われています。
本来、呼吸は“横隔膜”という大きな筋肉を使って行うもの。
でも姿勢が崩れることで横隔膜が動かなくなり、
代わりに肩・首・胸の筋肉が過剰に働いてしまう。
結果、
肩こり・頭痛・睡眠の浅さ・疲労感
といったトラブルにつながります。
呼吸を整えると、姿勢が整う


呼吸を深めると、姿勢も自然と変わります。
横隔膜がしっかり動くようになると、
お腹周りのインナーマッスルが連動して働きます。
その効果により、背骨と肋骨、骨盤の位置関係が整い、
体幹が安定します。
この“内側の安定”が生まれると、
無理に背筋を伸ばそうと意識しなくても、
自然に良い姿勢を取れるようになるんです。
つまり「姿勢をよくしよう」ではなく、
「呼吸を整えたら姿勢が整う」ということです。
呼吸の質が、運動の質を変える


呼吸の質が変わると、体の動きそのものが変わります。
呼吸の質が良くなることで、
筋肉の使い方が変わり、より“深い部分”が自然に働くようになります。
例えば、
腹式呼吸でお腹を意識すると、
インナーマッスル(腹横筋)が働き、骨盤が安定します。
胸式呼吸で肋骨を広げると、
背骨の可動域が広がり、しなやかな動きができるようになります。
呼吸の質が上がると、代謝も高まり、
体の内側からエネルギーが巡りやすくなります。
さらに、インナーマッスルに力が入りやすくなることで、
姿勢や動きの精度が一段とアップします。



呼吸は、筋肉と代謝のスイッチ!
睡眠と呼吸の関係


「最近眠れない」「寝ても疲れが取れない」
という人も多いですが、
その原因の一つが“呼吸の浅さ”です。
寝る直前までスマホを見たり、
明るい照明の中で過ごしたりすると、
交感神経が高ぶってリラックスできません。
そんなときこそ、
寝る前に腹式呼吸を3〜5回するだけで、
副交感神経が優位に切り替わり、
深い眠りに入りやすくなります。
夜トレの「寝る前1分」が、
まさにこのスイッチの役割を果たしているんです。
ひろが考える「呼吸の整え方」


- 鼻から吸って、口から吐く。
鼻呼吸は空気を温め・湿らせ・整える自然なフィルター。
口呼吸は乾燥とストレスの原因になるので、できるだけ鼻から。 - 吐くことを意識する。
呼吸は“吐く”が主役。
しっかり吐ききることで、自然に深く吸えるようになります。 - 姿勢を整えて呼吸を通す。
背骨をまっすぐにして、鎖骨を軽く開く。
胸を張りすぎず、空気がお腹・胸へ自然に広がる感覚を意識する。 - 夜トレの最初に「3呼吸」置く。
動く前に呼吸を整えるだけで、
その日のトレーニング効果が変わります。
呼吸が変わると、生き方が変わる


呼吸は「体の動き」だけでなく、「心の状態」も変えてくれます。
不安なとき、焦っているとき、
呼吸は自然と浅く速くなります。
でも、深くゆっくりと息を吐けたとき、
心は落ち着きを取り戻します。
体が整うと、心も整う。
心が整うと、表情も優しくなる。
それが呼吸の力です。
最後に


「呼吸を意識するだけで、日々の調子が変わる」
それは、決して大げさな話ではありません。
1日の中で、ほんの数回でもいい。
まずは寝る前に、
“深呼吸”をしてみてください。
私たちは、その時間を「夜トレ」と呼んでいます。
寝る前に体をほぐして、呼吸を整える。
夜トレは、がんばる時間ではなく、
“今日の自分をリセットする時間”。
呼吸を整えることから、
少しずつ、明日のあなたが整っていきます。

